燻製ってなに?

どのような仕組みであの独特な色合いと香ばしいフレーバーをまとった燻製ができあがるのか。このことを知ることで、初心者も経験者もさらに燻製が楽しくなるはずです。そこで!この記事では、森ワクサイトの燻製マスターが燻製とは何たるかをレクチャーします!

燻製とは香りづけをする調理法のことである!

燻製とは「魚や肉などを煙にさらして、風味や色調をつけて加工」する食品加工法のことです。ここでいう“煙”とは、木材を加熱したときに発生する気体のこと。例えば、チーズやベーコンなどをこの煙にさらすことで、もとの素材に+αの味わいときつね色の色味を加えることができます。

燻製が生まれたわけ

いぶりがっこ,いぶり漬け,大根,漬物,秋田名産

いぶりがっこ

囲炉裏,古民家

日本で古くからある代表的な燻製食品というと、「いぶりがっこ(いぶり漬け)」が挙げられます。いぶりがっことは、燻煙(くんえん)により大根を乾燥させ、主に米ぬかと塩で漬け込んだ秋田県名産の漬物のこと。

雪国の秋田では昔、大根を天日で十分に干すことができませんでした。そこで、家の梁(はり)につり下げ、囲炉裏火の熱と煙を利用して大根を乾燥させていました。こうすることで風味と保存性を高めることができたのです。説はさまざまありますが、こうした地域的な気候条件や、家の造りから自然発生的に燻製が生まれたのではないかと考えられます。

燻製はつまり、“木を食べている”

燻製,フライパン,煙

木は細胞の塊です。あらゆる物質が結合して木としての姿形になっています。ところが、酸素の供給が制限された状態で木材を加熱すると、この状態に変化が起こります。“熱分解(炭化)”と呼ばれる化学反応です。

加熱されることにより、結合していた物質が分解し、気体(フェノール類や酸類、フラン類、シクロテンペン類など何百種類の成分)となります。これが私たちの目に見える煙となって現われるのです。燻製ではこの煙が食材に染み込んでいくことで、色と香りづけをすることができます。もともとは木に含まれていた成分が食材に絡み合っているわけですから、“木を食べている“ということになりますね!

木のちがいは、味のちがい

燻製,チップ,スギ

一般的に燻製に使用されるチップの樹種はサクラ、ナラ、ヒッコリーなどです。スギは苦味が出ると言われることもありますが、個人的にはサクラほど強すぎないマイルドなスモーキー感と、より“木”を感じることができる味わいを持っているのでおすすめです。

木はどれも同じように思われるかもしれませんが、実際にそれぞれの樹種を食べ比べてみると、わずかにではありますが、味の濃淡や甘みの強弱などちがいを感じ取ることができます。この差異がどこから生まれてくるのかというと、樹種により含まれる成分の種類・量が異なるため、味も自ずと変わってくるのです。ご自宅の庭で剪定した枝などを細かくして燻製チップとして使用し、樹種による味の比較を楽しんでみるのも面白いかもしれません。

ここまで、燻製とは何たるかを紹介してきました。いかがでしたでしょうか?なんだかやっぱり燻製って面白いじゃん!と思っていただけていたら嬉しいです。“木を食べているんだな”と思いながら燻製を味わってみるのもまた一興ですよ!

燻製についてまとめた記事はこちらから → 【燻製まとめ】起源から作り方、おすすめ食材まで

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参考文献等)
・谷田貝光克 2002年「よい煙、わるい煙を科学する」中経出版
・いぶりがっこについて|いぶりがっこ本舗 雄勝野きむらや http://www.iburigakko.com/iburi.html