【上流編】鉄道やトラックを使わずして、山から海まで木材をどう運んだ?

伐採編(https://moriwaku.jp/history/6036/)に続き、山で伐採された木材を山から川へどのように運ぶのか、絵図をもとに見ていきましょう!

自然の力を活かしたピタゴラスイッチ!

木曽式伐木運材図会

※林野庁中部森林管理局所蔵

一本の樹木から材として加工され、サイズ感も小さくなった木材。とは言え、数m・数百kgの大きさ・重さがあるわけですから、人力だけで運ぶのは一苦労です。

木曽式伐木運材図会

※林野庁中部森林管理局所蔵

修羅

修羅(林野庁中部森林管理局所蔵)

そこで編み出されたのが、「修羅」や「桟手(さで)」という谷水の流れを活かした長いすべり台のような仕組みです。竹で作る流しそうめんの台がイメージに近いでしょうか。丸太を並べたり、板や木の枝を編んだりして流路を作ります。水の流れとともにこの流路を丸太や角材が滑り落ちていきます。

方向転換が必要な地点では、木や枝、皮などを置いた「臼」と呼ばれる転換ポイントを設けて、そこにぶつかることで上方から流れてきた木材のスピードを減速させ、材の向きを変える工夫も。

まるでピタゴラスイッチさながらの仕組み!

木材を流すための簡易的なダム

※林野庁中部森林管理局所蔵

水の流れが弱いところでは、上記写真のように丸太で簡易的なダムを作り、水を貯め、堰を切ったときの鉄砲水の流れを利用。こうして一気に木材を押し流す手法もありました。水量が多すぎると危険なため、水量の少ない秋から冬にかけて行われていました。

修羅や桟手として使用された木材も役目を果たせば、売り物としてともに川を下ります。こうして、山を下った木材たちは川の流れに身を任せて木曽川本流の合流地点へとたどり着きます。

次回の中・下流編(https://moriwaku.jp/history/6052/は、木曽川から海や貯木場までの運搬法を紹介します!

※掲載している過去の写真や図会画像(林野庁中部森林管理局所蔵のもの)の二次利用は厳禁です


参考資料等)
・熱田白鳥の歴史館(http://www.rinya.maff.go.jp/chubu/nagoya/)各種展示