ただ屠るのではなく、いのちを生かす。 里山の暮らしの“いま”を知るプロジェクト「DIYA」

皆さん、“獣害”という言葉を耳にしたことはあるでしょうか?
野生動物によって何かしらの被害を受けるという意味を指すこの言葉。
身近に感じる機会は多くないかもしれませんが、実は全国的に野生動物による農作物被害が深刻化しているのです。

DIYA

大切に育てた農作物を、野生動物に食い荒らされる。
そのダメージは、農業への意欲そのものを奪っていくほどの大きなものです。
結果として田畑を手放す人が増え、雄大な自然と人々の生活が寄り添うように共存していた「里山」の風景は、失われつつあります。

この問題の背景には、次のような要因が考えられるといわれています。

1:林業の衰退により、森林管理が行き届かなくなっている
2:野生動物の生息域の拡大
3:猟師の高齢化による担い手不足

1や3の要因は、人材育成や捕獲機材などの設備投資によって改善が見込めることと思います。
極端にいえば、資金や担い手がいれば、駆除する方法はいくらでも挙げられるでしょう。

でも、駆除するだけで、良いのでしょうか?
「害をなす」と思っている相手も、いのちある生き物です。
人間にとって“害”なだけであり、私たちと同じように必死に生きています。
ただいのちを奪うだけで、本当に「里山」の風景は取り戻せるのでしょうか。

自然と生活が、ともにある。そんな里山の暮らしを、“いま”の中で形にし、発信する。
そんなコンセプトのもと、徳島県・祖谷(いや)で発足したプロジェクトが「DIYA(ディヤ)」です。

DIYA

鹿=Deer(ディア)と祖谷を組み合わせて「DIYA(ディヤ)」と名付けられたこのプロジェクトでは、捕獲したシカの革を鞣して製品化し、販売まで行っています。

DIYA

鹿革は、その柔らかさとしなやかさから、古くより高級革として愛されてきたもので、使い込んでいくうちにどんどんと味わい深くなっていきます。

また製品の多くが、徳島で600年以上にわたって受け継がれてきた「本藍染」という、本藍を用いた染色加工がされているのも特徴の一つ。
合成染料では表せない深みのある色合いは、この地だからこそ生み出せたものといえるでしょう。

他にも、鹿革以外の素材として、間伐材から作られた「木糸」を使って開発された布をバッグや財布の内布などに用いるなど、「DIYA」の製品には「森林にあるものを、どのように生かしていくか」といった考えが込められています。

その考えこそが、「里山」をつくりあげる上で、一番大切なことなのかもしれません。

「DIYA」の製品はインターネット販売もしており、国内はもちろん、海外でも購入することが可能です。製品を通して、祖谷に息づく里山暮らしを想像してみてはいかがでしょうか。

※DIYA製品の販売サイトはこちら http://diya.jp/