47都道府県の柱プロジェクト~長野県~
ソマミチ(長野県)
この「47都道府県の柱プロジェクト」シリーズでは、名古屋・伏見にある「moriwaku cafe」と岐阜県の養老町と輪之内町にある「moriwaku market」内で柱材として活用されている各県の木や、その柱材の提供者である事業体について紹介しています。
<長野県の森林・木>
長野県は県土の約8割が森林です。森林は豊かな水を蓄え、二酸化炭素を吸収し空気を浄化するなど、私たちの暮らしを支える大切な資源です。信州でもっとも多く植林されているのはカラマツという種類の樹木です。寒冷地に適応できるため、冬に葉を落とす国内で唯一の落葉針葉樹。長野県の人工林の55%を占めています。さらに、カラマツ造林のもっとも古い事例は、長野県川上村にあるようです。幕府の天領で寛永年間(1624~43年)に数百町歩にわたって植えられたといいます。
カラマツは木目がはっきりしており、中心部の赤みが美しいことが特徴です。柱などで住宅建築に古くから使われていました。この10年ほどは集成材※や合板に加工され構造部材として多用されているほか、木目を活かして床、壁板などにも使われ、また最近は高樹齢化によって大径木が生産できるようになり、芯去り※の無垢構造材としての利用も注目を集めています。
※ 「集成材」:乾燥した薄い板を同一繊維方向に接着剤ではりあわせた材。節や割れがなく、強度・安定性があり建築の柱や梁などに使われています。(「大辞林 第三版」より)
※ 「芯去り」:丸太の中心にある髄を避けて製材すること。
ソマのミチから、始める暮らし
「杣道(そまみち)」とは、林業者が山に苗を植えてから、下刈りや枝打ちなどの手間をかけて育て、木材を搬出するまで通い続ける山道のことです。手間や時間がかかっても山の恵みを享受して暮らすことが、永く続く本当の幸せにつながるのかもしれない。そう考えた林業者、加工業者、建築関係者などが集まり、「木を使う社会の仕組みをつくる」ことを目指して発足したのが「ソマミチ」です。
信州ではかつて植林されたカラマツが非難されてきました。「ねじれるし、ヤニも出る。こんな木をなぜ植えたんだ」と。そうは言ったところで今さらカラマツがヒノキに変わるわけではありません。「大事なことは、地元の先人=じいちゃん、ばあちゃんたちが苦労して植えてくれた木をありがたく活かすことだと思う」と代表の原薫さん。ソマミチのメンバーは手を組む以前より、難しいカラマツという木と向き合い、「粋」と「心意気」を感じる職人技(技術の高さとセンスと遊び心)でねじれや反りといった欠点を克服してきました。そして今は利害関係を超えて、このソマミチを通してメンバーが情報や技術を共有し、原木の安定供給と販路拡大、および製品開発の協力体制を築き、これまでは難しかった地元材の活用の範囲を広げています。
例えば、長野県松本市にある公共施設「松本ヘルス・ラボ」に納入されたカラマツ材の棚やワゴン、テーブル。これはソマミチメンバーの連携プレーにより成し得たものです。地元のカラマツを伐採したのが株式会社柳沢林業、製材乾燥は林友ハウス工業株式会社、最終的な家具製作はアトリエm4とintermakerが取り組みました。また山の辺建築設計が建てた自宅は、ソマミチの理念を体現したソマミチハウスモデルの住宅としてこの7月に完成しました。こうした製作以外にも、山での伐採や運搬を生で見たり、信州の木を用いた住宅の見学をしたりして、信州の木を使う仕組みや流れを体感できるソマミチツアーを行っています。
このように、ソマミチは森林を育てながら木材を産み出し、活用する社会を目指しています。そして、木材の普遍的な価値をしっかりと見直し、「山基準」の日本的な感覚「自然(じねん)」を感じる暮らしを作っていきます。
上記の長野県の木は森ワクカフェ(https://bit.ly/2K2wHfc)と森ワクマーケット(https://moriwakumarket.jimdo.com/)にて柱材として活用しています。その風合いをぜひ間近で体感してみてください!
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ソマミチ
HP https://www.somamichi.com/
Facebook https://www.facebook.com/somamichi
オンラインストア https://somamichi.stores.jp/
参考文献等)
森林の里親促進事業/長野県https://www.pref.nagano.lg.jp/ringyo/sangyo/ringyo/seibi/satooya/index.html#chiiki
信州木楽ネット 長野県の木材製品流通・情報センター
http://shinshu-kiraku.net/
信州カラマツでつくる美しい木の外壁|カラマツT&Tパネル
http://www.karamatsu-tandt-panels.com/4_karamatsu.html