47都道府県の柱プロジェクト~栃木県~
有限会社 田村材木店(栃木県)
この「47都道府県の柱プロジェクト」シリーズでは、名古屋・伏見にある「moriwaku cafe」と岐阜県の養老町と輪之内町にある「moriwaku market」内で柱材として活用されている各県の木や、その柱材の提供者である事業体について紹介しています。
<栃木県の森林・木>
栃木県を代表する木材といえば「日光杉」です。このスギを生産する日光林業地帯は適度な気温と降雨に恵まれ、積雪による雪害も少なく、良質な木材が生育される気象条件が整っています。こうして育まれる豊かな森林資源があることで、全国有数の高品質な原木丸太を生産してきました。現在では「とちぎ日光材」としてブランド化が進められています。ほぼ真円に成長し、根元の曲がりがなく、アテなどの欠点が少ないといった材の特徴があります。
また、栃木県日光市にある「日光東照宮」では、社寺へと続く総延長35キロメートルにもおよぶ参道「日光杉並木街道」も有名です。昔の人たちはその杉並木の参道をぬけることで身を清めたと言われています。日光杉は文化的な象徴としても大切にされてきたことがうかがえますね。
※ 「アテ」:傾斜地などで樹心が一方に偏って成長し肥大成長が促進された部分。(「森林・林業・木材辞典」より)
“森と人を結ぶ”材木屋
一般建築材や枕木の製材業として大正10年に創業した「有限会社田村材木店」。“ものづくりへのこだわり”を持ち続けるため、あえて大量生産は行わず、昔ながらの一棟挽き(家一軒分の木材製品すべてを生産)・地域産材利用に特化してきました。柱材やフローリング材などを製材・加工し、建築業者だけでなく一般の方にも販売しています。自社で製材しているからこそ、規格外の寸法にも柔軟に対応することができます。また、用途に合わせて木材の各部位を有効に利用したり、天然乾燥やハイブリッド乾燥※を取り入れたりと、木材本来の特性と良さを最大限に活かす製品づくりに励んでいます。
近年は規格化された低価格な住宅を提供するハウスメーカーが増えた影響もあり、木材価格が下落傾向にあると言われています。安価な木材の大量生産に対応するため、特定の樹種・寸法のみを製材の対象とする材木店も増えてきました。そんな流れの中で、田村材木店は独自路線を突き進んでいます。
※「天然乾燥」:屋外もしくは屋内にて木材を桟積みして木材を乾燥させる方法。人工乾燥は木材を乾燥室に入れて人工的に温度・湿度を調節して短時間で調節させる方法。
「ハイブリッド乾燥」:天然乾燥の木材本来の粘り強さと色・ツヤ・香り、そして人工乾燥の寸法安定性を組み合わせた木材乾燥法。
施主伐採事業「山に行こう!」では、一日一組限定で建築主自らが山へ赴き、大黒柱や大梁となる木を選んで伐採。その枝を挿し木※として育て、苗木を山に戻すことで林業を体験してもらう事業を行っています。2014年からは宇都宮大学と連携し、学術研究林のヒノキを素材とした「宇大ヒノキ」を生産。このようにただ木材を販売するだけではなく、森と人とを結ぶ役目としての矜持を持って取り組んでいます。
※ 「挿し木」:植物体の一部(幹・枝・葉・根など)を親木から切り取って土などに挿して繁殖させる無性繁殖法の1つ。(「森林・林業・木材辞典」より引用)
上記の栃木県の木は森ワクカフェ(https://bit.ly/2K2wHfc)と森ワクマーケット(https://moriwakumarket.jimdo.com/)にて柱材として活用しています。その風合いをぜひ間近で体感してみてください!
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有限会社 田村材木店
栃木県日光市豊田381-4
TEL 0288-22-5648
HP http://www.tamura-zaimokuten.co.jp