森でみつかるビジネスの種?森のビジネスモデルシリーズ第1回

全10回でお届けする森のビジネスモデルシリーズ。
このシリーズでは、林業・森林利用にかかわる産業についてビジネスモデルに注目して紹介するシリーズです。生産・物流・小売りまで幅広いトピックを森ワク学生ライターがわかりやすく説明していきます!
初回となる第1回では“ジレットモデル”に着目してお届けします。

ジレットモデルとは?

ジレットモデルとは、カミソリで有名なジレット社が確立したビジネスモデルです。消費財(日常で消費する事を目的に需要される財のこと)を対象としています。基本的な仕組みとしては

 ・顧客の囲い込み

 ・消耗品の交換

 ・安定的な収入の獲得

の3つのステップから成り立ちます。
具体的には、まず顧客にカミソリの本体部分を格安で提供します。(ステップ1)次に替え刃の販売を行います。(ステップ2)その後替え刃を連続して購入できるようにしていきます。(ステップ3)

ジレットモデル

このビジネスモデルの収益は消耗品の販売で確保します。一度本体を購入した顧客は長期間、顧客として抱え込む事が可能であり安定的な収入が得られます。現在ではカミソリ以外でも、コピー機・携帯の通信・コーヒーメーカーなど幅広いシーンでこのモデルが見られます。
このビジネスモデルでは

 ・顧客の囲い込み

 ・生涯顧客価値(Life Time Value)の算出

がポイントとなってきます。
1つ目のポイントでは、収益の根幹を担うため準備が重要になってきます。このビジネスモデルでは顧客を囲い込むため製品本体を格安時には無料で提供する必要があります。よって初期投資の金額が大きくなりリスクが大きくなりがちです。また他社が替え刃の類似品を提供すると、製品本体の投資分を先行企業が負担し収益が他社へ流れる状況となってしまいます。よって競合企業を退けるためにも替えの効かない製品の技術的な特性が必要になってきます。
2つ目のポイントは投資の見極めに必要な要素になってきます。モデルの特性上、運用期間が長期化します。そのため適正な投資を行うためにも生涯顧客価値を適切に把握することが必要です。生涯顧客価値を算出することで、損益分岐点を見極めることが可能になってきます。

森のジレットモデル

さて林業・森林利用におけるジレットモデルはどのようなものがあるでしょうか?

1.薪ストーブ
カミソリ本体にあたるのが、ストーブ本体。替え刃にあたるのが薪となります。古来の暖房器具ではありますが、エアコンなど代替製品の普及によって家庭ではあまり見なくなった薪ストーブですが、最近では外観・機能性から再注目されています。また木質バイオマス利用の観点からも補助金の対象となり普及が促進されています。ジレットモデルを採用することで本体価格を下げることができ、消費者の購入の心理的障壁を下げることができそうですね。薪ストーブのモデルで気を付けることとしては、薪が自社製品でしか使えないものにすることです。(前述しましたが競合によって薪だけを販売されることを防ぐため)そのためには、薪の加工(独自のペレット状にするなど)、アフターサービスの充実などの戦略が必要になってきます。

2.木のアロマを利用した芳香剤
木材に含まれる成分にリラックス効果があることは広く認知されており、芳香剤や加湿器を併せた製品も見られます。香りを拡散させる機械を格安で提供し、木からの抽出成分を消耗品としてジレットモデルにあてはめて運用することが可能です。
今回はジレットモデルについて解説していきました。
ここから新しいビジネスが生まれるかも?