【前編】環境を通じた学びをきっかけに始まるワクワク!「なごや環境大学」

「なごや環境大学」とは、市民、市民団体、企業、教育機関、行政が協働で作る、環境学習・活動のネットワークのことです。

このネットワークを通じて、“まちじゅうがキャンパス”をキーワードに、環境についての様々な講座を開講しています。講座自体も市民や企業などが主体となって企画運営。講座はいろいろな場所で日々行われています。

なごや環境大学が生まれたのはなぜ?

藤前干潟

藤前干潟

1999年に愛知県名古屋市が発表した「ごみ非常事態宣言」をご存知でしょうか?当時、年々増加していたごみの処理量が100万トンに迫り、市の処理能力は限界に近づいていました。

こうした状況から、名古屋市港区と海部郡飛島村にまたがる「藤前干潟」に新しい埋立処分場を建設する計画が進んでいました。一方で、藤前干潟が渡り鳥の重要な飛来地であったことにより、計画の中止を求める声も。
※「藤前干潟」は2002年にラムサール条約湿地として登録されるほど貴重な自然が残る干潟です

さまざまな議論が重ねられた結果、藤前干潟の埋立計画は中止に。そうは言っても、増え続けるごみはあります。そこでごみを減らすために「非常事態宣言」が出されました。

これが契機となり、自分たちが出すごみについて考える市民が増えたことで、1998年~2003年の間に約26%ごみの減量に成功。 埋立量は半分以下になったのです!

ただ、こうした社会変革は、非常事態に陥ったときでないと起きないものなのでしょうか。

ごみ問題以外にも多様な課題がある現代社会において、問題の本質に迫り、議論し、積極的に行動する、ということを平時でも実現するためには?

この問いかけに対する答えが、「なごや環境大学」の構想につながります。

大学じゃないけれど、“大学”なわけ

なごや環境大学

なごや環境大学の基本理念は、ESD(持続可能な開発のための教育)の実現・充実・拡大。そして、社会全体が“行動しやすくなる”仕組みづくりです。

立場や分野を超えたさまざまな人々が、環境について学び実際に活動するための講座を企画したり、一緒に「環境」を考えたりすること。日常の生活や、環境活動で気になった疑問や悩み、問題意識を持ち寄り、解決のために学びあえる場、ネットワークづくりを目指しています。

お互いの情報を共有し、問題意識や専門性を活かした話し合いをすることで、そのつながりを生かし、「名古屋を動かそう!」という意欲が生まれ、行動へと結びつける。このことから、“開かれた意味”として「大学」と名付けられました。

学習施設、研究所、大学、工場、身近な自然すべてを含めて、名古屋市域全体がキャンパスであり、空間的にも開かれているのです!

みんな一歩の積み重ねを

環境とひとえに言っても、扱う事象はたくさんあります。空、水、土、生物、食、ごみ問題、公害、化学物質…私たちは日々様々な「環境」を相手にしています。

様々な人が、いろんな視点でものを見ていることに気づき、その気づきを人に伝える。そうして市民一人一人が「身近な環境」を意識することで、自主的・積極的な行動が実現できるのではないでしょうか。自ら動くことはきっと自身のワクワクにもつながり、その積み重ねがほんのちょっとずつ、環境がより良くなることにつながっていくでしょう。

では、具体的にどんな講座があり、どのような体験・活動ができるのでしょうか?

後編記事ではそのあたりに迫ってみます!


なごや環境大学 実行委員会 事務局
愛知県名古屋市中区栄1丁目23-13 伏見ライフプラザ13階
(名古屋市環境学習センター エコパルなごや内)
TEL/FAX:052-223-1223
ホームページ:https://www.n-kd.jp/