恐竜時代からの生き残り?彼らとは同期でした

上の写真の葉っぱをほとんどの方がご存知かと思いますが、こちらはイチョウ*の葉っぱです。樹木には大きく分けて針葉樹と広葉樹があります。ではイチョウは針葉樹と広葉樹どちらに分類されるのでしょうか?葉は扇形で、葉っぱの広がりから、広葉樹の葉っぱのようにも見えます。しかし、どちらかというとイチョウは特殊な針葉樹に当たります。

実はこのイチョウ、恐竜時代から生き残っているって知っていましたか?このイチョウの仲間はおよそ2億年前の中生代、ジュラ紀に繁栄していました。このことは、その時代の地層からイチョウの仲間の化石が見つかっていることからもわかっています。この種はその唯一の生き残りと言われていて、“生きた化石”と呼ばれることもあります!同期の恐竜さんは絶滅してしまいましたが、イチョウは現在まで頑張って生き残っています。
*イチョウ:学名Ginkgo biloba イチョウ科イチョウ属で中国原産。落葉高木で高さは15-30mほど。秋になると美しく黄葉する。

イチョウからとれる銀杏


秋の味覚の代表の銀杏。皆さんはどんな食べ方をしていますか?様々な食べ方がありますが、私はよく茶碗蒸しに入れて食べています!多くの方がご存知だと思いますが、銀杏には中毒性があるので食べる際には量に十分注意してください。

この銀杏ですが、イチョウの雌木にしかできません。イチョウは雌雄異株(しゆういしゅ)と呼ばれる特徴を持っています。同じ種でも雄花だけを生じる樹木と雌花だけを生じる樹木にわかれています。
こちらが外で見られる果実です。


銀杏はこの果実の種子になります。実際私も何度かその臭いを嗅いだことがありますが、この果実、とても“強烈な臭い”を放っています!独特な香りで一度嗅いだら忘れられないかもしれません。嗅いだことのない人には是非嗅いでほしいです。この独特の香りや果実の掃除に手間がかかることから街路樹としては、雄木の方が多く植えられる傾向にあるそうです。雌木には雌花が、雄木には雄花が葉っぱと同じ枝から出ています。ちょっと覗いてみると見分けられるかもしれませんね。
*開花時期は4~5


イチョウの樹皮はコルク質という組織を形成しています。実際に指で押してみると弾力があり、“ぼよぼよ”していて少し楽しいかもしれません。

そんなイチョウの材は杉より硬いですが、その他木材の中では比較的柔らかいです。木肌が細かく仕上がりがきれいで木目は目立ちません。用途も様々。幹が太くなるため大きめの板材が取れます。そのため、まな板、かやの代用品として将棋盤などにも用いられるそうです。その他、江戸時代から彫刻材、漆塗りの芯、木魚などにも使われてきました。

ここまでイチョウの木をご紹介してきました。よく見かけることの多いイチョウですが、不思議な特徴をたくさんもっており、見ていて楽しい樹種です。見かけた際は見て触って楽しんでみてください!

参考文献)
西川栄明(2016)『樹木と木材の図鑑日本の有用種101』創元社
伊東隆夫、佐野雄三、内海泰弘、安部久、山口和穂ら著(2011)『カラー版日本有用樹木誌』海青社
林弥栄(1985)『三溪カラー名鑑 日本の樹木』山と渓谷社
林将之監修 ネイチャー・プロ編集室 著(2014)『葉っぱで見わけ 五感で楽しむ樹木図鑑』ナツメ社