木材の節(ふし)って何?

木材の中に現れる「節」って一体何だろう?

写真のような板を目にしたとき、茶色い斑点のような模様の存在に気がついたことはありますか?これらは「節(ふし)」と呼ばれています。この節とは一体何なのでしょうか?

節は、幹の肥大成長*¹によって、枝がその幹に巻き込まれた部分のことです。つまり、節とは幹に内在する枝の一部であり、枝の位置していたところにその数だけ存在するということです。また枯れ枝のような成長が止ってしまったものが幹に残ったまま木が成長すると、その枝は完全に幹に埋もれてしまうので、見た目は枝の痕跡が全くない場合でも、割材してみると中に節が存在しているということもあるのです。

節は大きく分けて、「生節(いきぶし)」と「死節(しにぶし)」があります。生節とは、枝が生きている状態で巻き込まれたものです。そのため、生きた枝が沢山の葉っぱを抱えても折れないように枝とその周囲の幹の組織とはしっかりと結合しています。

死節とは枯れた枝が幹の中に巻き込まれたものです。枯れてしまった後に幹に巻き込まれたので、周囲の組織との結合はしていません。そのため、製材の仕方によっては、死節の部分だけ抜け落ちてしまうこともあり、その抜け落ちた節を「抜け節」と呼ぶこともあります。

死節や抜け節が多く存在する木材は、強度の低下や見た目の悪さから、木材価格の低下を招く原因の一つとなっています。そのため、原木購入時や製材時に死節などは、材質を評価する指標として用いられ、特に影響が大きいものとして扱われています(守口ら, 2013)。

上の写真のように丸太の円盤の縦断面を観察してみると、木の内側にどのように枝が残っているのかよく分かります。黄色の点線から外側に位置する節が死節です。幹が枯れ枝を節として巻き込むため、周りが黒ずんで見えます。また黄色の点線付近で生節が死節に変化していることから、この時期に節となった枝が枯れたことを推定できます。

節から木の成長を感じ取る

これまでの製材業界では節のイメージは良くないことが通例でしたが、最近では木材の加工技術の発達などにより、節を1つのデザインとして採用する家具などの木製品が注目を集めています。確かに節というのは、その位置や大きさから木の成長履歴を表し、長い年月を経て育った立派な木ほど、大きくて味のある節が存在します。木製品は使用される木材の木目や節の有無によって顔色が全く変わります。身の回りで木材を見かけた時は、節を探してみてはいかがでしょうか?森の中でそびえ立つ木の成長過程をイメージできるかもしれません。

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脚注)
*¹ 肥大成長: 樹木のような植物が太くなる方向に成長すること
参考文献)
藤森隆郎 (2006), 森林生態学 持続可能な管理の基礎. 全国林業普及協会, 東京
守口海, 植木達人, 井上裕 (2013), 長野県製材業者における材質への評価特性. 森林計画学会誌, 47(1), 1-7.