里山体験を通じて、自分の暮らしを見つめ直す

ふと、思うのです。

「お金を出せばなんでも身の回りのモノが揃ってしまうけれど、本当にそれでいいのだろうか?」
「自分で暮らしをつくることができる知恵がちょっとでもほしいなあ」

と。

だからでしょうか、“里山”や“農山村”といったワードに、つい反応してしまいます。里山で暮らしていた昔の人々は、身近にある森林資源を工夫して自らの生活に取り入れ、自分たちで衣食住さまざまなシーンで使える形にうまく落とし込んでいました。

かつて燃料のもととなった薪炭林を中心に、人の生活と自然のサイクルがうまく循環していた里山のあり方は、今まさに声高に叫ばれている“持続可能な”暮らしそのものだったとも言われています。

里山

世間的にもここ数年、「里山資本主義」という書籍が話題になったり、地域おこし協力隊員が各地方で活動するようになったりと、“里山”をはじめ“地方”や“移住”といった言葉がホットワードになっているように感じます。

こうした趨勢の中、岐阜県揖斐川町を拠点に新たな取り組みが始まっているのをご存知でしょうか?「一般社団法人ヤマノカゼ舎」が展開している里山インキュベーター(農山村起業者育成事業)や山の保存食キッチン&カフェ(古民家と生活文化の活用事業)などの活動です。

森林資源を活用して生業とし、農山村で暮らしていく人を増やす。

これは森ワク編集部としても、とっても気になります!ということで、まずはこの団体が何者なのか掘り下げてみたいと思います。

山から謙虚に学ぶ先にあるもの

現在、“限界集落”などの言葉があるように、農山村の集落において人口の減少と集落機能の低下によって、集落そのものが消滅してしまう危機に瀕しています。

こうした窮状を改善しようと、ヤマノカゼ舎では“農山村起業者”の育成に力を入れています。起業者が育つことで、地域経済の活性化や居住者の定着、地域資源の適切な管理ができるようになると考えています。

農山村の集落がなくなってもそんなに問題じゃないんじゃないの?と思う方もいるかもしれません。しかし、農山村で暮らす人がいなくなるということは、山の自然を守り育てる人がいなくなるということです。

自然は自然のままが良いという側面もあるかもしれませんが、人にとって快適な環境を保ち続けるためには自然との最適な距離がきっと存在し、そのためには、ある程度人による適切な管理が必要になります。

同団体では起業家精神を持った人材を育てるべく、「里山インキュベーター」なる講座を開講しています。里山起業について専門講師からレクチャーを受けたり、実際に揖斐川流域のフィールド実習をしたり、最後には起業プランを発表する流れになっています。

また、いきなり起業というとハードルが高く感じる人も多いので、気軽に参加できるようにと、田舎暮らしの作法を学ぶクラブ活動も実施しています。生け垣や道路周辺の草刈りや畑作業、保存食づくりなどなど田舎仕事はたくさんあります。

草刈り

地元の方々と一緒に草刈り

古民家生垣の剪定

古民家生垣の剪定

さらに、設立趣旨には、
「ヤマノカゼとは、山から人里や平野部に吹き下ろすやわらかい風をイメージしています。また古い言葉では、カゼとは人が住む世界の奥にある野生動物やもののけが支配する世界のことを意味しました。私たちは山の自然や精神文化から謙虚に学びながら、新しい暮らし方・働き方を社会へ発信することを通じて、揖斐川流域社会をつなぎ直したいと願っています」とあります。

悩める現代社会。今一度、敬意を持って山の自然・精神文化から学びを吸収することで、前向きな未来が見えてくる気がします。

ところで、活動の概要は分かったけれど、具体的な活動の様子も気になりませんか?そこで森ワクでは今後、ヤマノカゼ舎さんのさまざまな取り組みを体験レポートのような形で紹介していくことを検討中です。里山に興味のある方はぜひウォッチしてくださいね!

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一般社団法人ヤマノカゼ舎
岐阜県揖斐川郡揖斐川町北方3207-1
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