林業を学ぶ高校生たち

皆さんは高校時代にどんな生活を送ってきたでしょうか?きっとそれぞれに素敵な思い出があると思います。学科や部活、校風によって高校生活やその思い出は、随分異なってきますよね。それでは、高校の学科が普通科ではなく、森について専門的に学ぶ林業科という学科だった場合はどうでしょうか。今回はあまり知られていない「高校の林業科の実態」をご紹介します。取材には、愛知県の東三河地区で唯一林業科がある「愛知県立田口高等学校」へ伺いました。

林業を学び、“ふるさとで活躍する人材を育てる”

田口高校は、愛知県の北設楽郡設楽町にある公立高校です。普通科と林業科が設置されており、定員は両学科併せて40人程です。林業科は、「実習や林業に関する専門科目を中心に、ふるさとで活躍する人間を育てる学科」がモットーになっています(HPから引用)。本格的に専門科目を学ぶのは2年生からで、「森林科学コース」と「地域文化コース」のいずれかを選択します。また「鴨川演習林」という研究や教育を行うための実習林を所有しているので、林業科の生徒はそこで毎年実習を行うことで森について実戦的に学習ができるのです。

どうやって林業の勉強をしているの?

田口高校のHPにある教育課程表によると、森林科学コースでは、森林科学に関する基礎的な知識と技術の習得を目指しており、森林科学、測量をはじめとして12の農林業の専門科目が選択可能です。そして実習は、鴨川演習林で全学年とも年2回、いずれも2泊3日の日程で行われています。内容としては植栽、下草刈り、枝打ち、そして伐採等の、植林や森林整備に必要な作業を学習しています。また林業科の全生徒が参加するクラブ活動では、地域が抱える課題を解決することを目的に研究活動を行っています。最近の活動内容としては、樹木の有効活用法を探るために、スギやヒノキの葉っぱから、アロマオイルの原料となる精油を抽出する実験を行っているのだそうです。大学生顔負けの本格的な研究を行っているとは、驚きです。

高校時代に森について学ぶこと

今回は田口高校林業科の事例を基に「林業科の実態」について紹介しました。林業科の特徴や魅力としては、主に3つあると感じました。1つ目は、普通科の高校生活と比べて、実習の頻度が多いことから、体験による気づきや学びを多く得られること。2つ目は、森で行う実習を通して道具を扱う技術が学べるということ。そして3つ目は、高校生の頃から研究活動ができるということです。田口高校林業科のクラブ活動では、葉っぱを利用した精油抽出の研究を行っていました。その研究成果は、地元の新聞やイベントで取り上げられるほど、設楽地域の活性化の糸口として期待されていました。高校生の頃から地域の問題に目を向け、その解決策を研究した経験は、生徒にとって貴重な宝物になることでしょう。


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愛知県立田口高等学校
住所:愛知県北設楽郡設楽町清崎林ノ後5
ホームページ:http://www.taguchi-h.aichi-c.ed.jp/