青森県の小さな村で出会った木質バイオマスに必要なもの「森のエネルギー研究所 東北営業所」
「株式会社森のエネルギー研究所」は、木質バイオマスエネルギーの活用に関するコンサルティングを行っている会社です。通常はコンサルタントとして事業実現のためのサポートをする立場ですが、2017年5月、青森県西目屋村に地元企業、村役場と共同出資をし、実際に自分達で事業を行う会社「西目屋(にしめや)薪エネルギー株式会社」を設立しました。立ち上げの経緯や事業の目的を代表の虎澤裕大さんに伺いました。
西目屋村は、青森県の南西部、世界自然遺産の白神山地の入口にあり、県内で最も人口の少ない自治体です。薪の生産販売をメインに、村内の木質バイオマスボイラー(薪ボイラー)利用施設への薪供給、将来的にはエネルギー供給事業や幅広い森林資源活用事業を目指しています。
森のエネルギー研究所にとって、実際に木質バイオマス事業を地域で運営していくのは初めてのことです。これまでのコンサルタントとは全く違った難しさや不安があります。それでも実際に事業を動かし、地域を動かすこと、ミクロな現場とマクロな政策の両方の視点を持つことが大切だと事業参画を決めました。
なぜ「西目屋村」なのか?
正直、東京からは遠く、冬は半端なく雪が積もり、津軽弁はまるで外国語に感じるほど。合理的に考えたら事業参画の地として条件がいいとは言えません。それでも西目屋村で事業を始めようと思った理由は、これまで3年間村と関わった中で感じた「人」や「心意気」や「熱意」でした。人口減少をはじめとした様々な逆境の中で、これから新しいことにチャレンジしていこうとする村の姿に、「自分達にもチャンスがある」と思ったそうです。
なぜ「薪」なのか?
ボイラーの燃料を薪にした大きな理由の1つに、「機械よりも人にお金をかけたい」という思いがありました。木質バイオマス燃料としてチップやペレットを作るにはそれなりに高額な機械が必要ですが、薪ならチェーンソーと薪割り機など少ない設備で事業を始められます。小さな地域で小さく始めるにはちょうどよく、なにより村では昔から薪に慣れ親しんでいます。村の皆さんと話し合いながら「薪でいくべ!」ということになりました。
西目屋薪エネルギー株式会社では木質バイオマスの活用を通じて、森林資源の有効活用と村の「人」がより活躍する場をつくるといった「人」に焦点を当てた事業展開を目指しています。会社設立から今日まで、さまざまな問題にぶち当たった虎澤さんをはじめとした会社の方々。そのたびに実感するのは「多くの人に支えられている」ということでした。
今後も西目屋村のため、それから木質バイオマスを使った地域活性化のモデル事業を創るため、精一杯の努力が続きます。今後どんどん事業が形になっていく世界自然遺産白神山地の里、西目屋村。ぜひ一度足を運んでみてはいかがでしょうか。
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基本情報
企業名:株式会社森のエネルギー研究所 東北営業所
住所:〒036-1415 青森県中津軽郡西目屋村村市村元50-20
電話番号:0172-55-6518
ホームページ:http://www.mori-energy.jp/