畜産・農業・林業をつなぐ!株式会社スピリット

株式会社スピリット

上の写真はバケツに入れられた“堆肥”。
家畜の糞尿を混ぜてつくられた堆肥はニオイがきついものが一般的ですが、株式会社スピリットが開発したこの堆肥「みな土」が置かれている場所はなんとカフェの中。匂いはむしろ栄養たっぷりな腐葉土のようです。
開発したのは岐阜県高山市の「株式会社スピリット」。匂いの秘密は牛に与える乳酸菌。この堆肥で畜産・農業・林業をつなぐ試みを企画・営業担当の藤原郁馬さんにお聞きしました。

会社を始めたのは藤原さんの父・藤原孝史さん。畜産・農業・林業の3つがうまくまわる仕組みはなんだろうかと考え、“堆肥”という考えにいきつきました。
堆肥には林業で出るおがくずと、家畜の糞尿が必要です。できた堆肥は農業に使います。長年の試行錯誤の結果、現在はモンゴルで見つけたNS乳酸菌と呼ばれる乳酸菌を牛の餌に混ぜて与えます。すると腸内環境がよくなり、糞尿のニオイ軽減や栄養の吸収率アップにつながり、肉の質も良くなりました。
健康な牛の糞尿を混ぜて作った堆肥を農業に使用すると、とても健康な土と美味しい野菜が出来たそうです。

 

野菜 スピリット みな土

みな土で育った野菜

そんな父を見てきて、藤原さんは漠然と「親父がおもしろそうなことをやっとるな」と思うようになりました。大学では生命科学を専攻。研究室生活よりフィールドワークの方が楽しく感じたそうで、卒業後は地元で父を手伝うことに。
「健康な牛からは健康な堆肥、野菜ができる」実際に手伝うようになって父の仕事への“興味”は“共感”に変わりました。

2015年には畜産の現場から林業の現場へと一度転職。林業の立場からおがくずの使い道を考えたこともあります。
再び畜産の現場へと戻った藤原さん。「牛飼いの人は牛を育てることばかりに目がいきがちだし、林業をやっている人は木を切ることばかりを考えがちです。林業を畜産の観点から見る。畜産を林業の観点から見る。農業も然り。もっと多角的な視野で見れば、意外な可能性の発見ができると思います」と語ります。

スピリット 農業 林業

株式会社スピリットの藤原さん

現在は高山市江名子町の丘に建てた「1760(イチナナロクゼロ)」という複合スペースで“農・食・体”、“山・川・海”をテーマにヨガや1day caféなど様々な取り組みをしています。

 

1760 カフェ

1760の店内は主にDIYで製作

「乳酸菌だとか発酵だとか、理屈やストーリーを並べるより、まずは食べておいしいと思ってもらえるか。そこから興味を持ってもらいたい」という言葉には、考えるより感じてほしいという想いが滲みます。夢は地域単位で農業・畜産・林業がうまく連携し、1つの総合農場のようになること。

その先に消費者の「おいしい!」と食でつながった地域の笑顔が見えてきます。

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株式会社スピリット
岐阜県高山市丹生川町大萱1150-1
TEL:0577-78-2055
ホームページ:http://spirit-bc.jp/
BLOG:http://minatsuchi.com