47都道府県の柱プロジェクト~千葉県~
石井工業株式会社(千葉県)
この「47都道府県の柱プロジェクト」シリーズでは、名古屋・伏見にある「moriwaku cafe」と岐阜県の養老町と輪之内町にある「moriwaku market」内で柱材として活用されている各県の木や、その柱材の提供者である事業体について紹介しています。
<千葉県の森林・木>
千葉県山武(さんむ)市がある九十九里地方の林業は、山深いところではなく、いわゆる里山で行われる林業です。そんな山武市で産出されるのが「山武(さんぶ)杉」です。中でも、250年以上前から挿し木※により造林されてきた品種(クローン)は「サンブスギ」として区別され、成長が早く花粉が少ないという特性を持っています。また、スギの中でも淡い紅色で美しく油気が強いのが特徴であり、上質材として流通しています。
さらに、「非赤枯性溝腐病(ひあかがれせいみぞぐされびょう)」という病気にかかりやすいと言われています。この病気にかかると、丸太の半分は腐って使い物にならなくなってしまったり、ねじれて腐りが入ってしまったりし、材としての価値はなくなってしまいます。しかし、すべてが使えないわけではありません。石井工業株式会社では、自社製材をしている強みを活かして腐食部分をうまく挽き落とし、残ったところを有効活用。森林資源を無駄なく使い切っています。
※ 「挿し木」:植物体の一部(幹・枝・葉・根など)を親木から切り取って土などに挿して繁殖させる無性繁殖法の1つ。(「森林・林業・木材辞典」より引用
こだわりの山武杉を活かした家づくり
伐採から製材、建築までを一貫して行っている「石井工業株式会社」は、2016年で創業70年を迎えました。千葉県を中心に、地元材・山武杉を使った地産地消の家づくりをしています。山武杉は油分が多くツヤのある仕上がりになるため、建具材としても使えるそうです。そのため、土台にヒノキを使用する以外はほぼすべての部材に山武杉を活用。言葉だけだと簡単なように聞こえますが、これって実は珍しいことなんです。山主さんと直接交渉して立木を買い付けするなど、木材の調達から建築までをすべて自社で行っているからこそできること。木材の市場にも山武杉はあまり出回っていないと言います。そのため、市内の同業者でも地元材だけで家づくりをしているところはほとんどないようです。
林業や木材産業では銘柄材として認知されている山武杉ですが、「意外と地元の人たちはそのことを知らないんですよ」と話すのは同社の後継者である石井涼平さん。だからこそ、「『地元の一番の財産を残していきましょうよ!』という気持ちで、山武杉の魅力をより多くの人に伝えていきたい」と話します。この先、家業を継ぐ身としても、その想いは一層深まるばかりです。
上記の千葉県の木は森ワクカフェ(https://bit.ly/2K2wHfc)と森ワクマーケット(https://moriwakumarket.jimdo.com/)にて柱材として活用しています。その風合いをぜひ間近で体感してみてください!
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石井工業株式会社
千葉県山武市埴谷810
TEL 0475-82-2808
MAIL ishiikogyo@nifty.com
HP http://ishiikogyo.jp/
参考文献等)
千葉県ホームページ https://www.pref.chiba.lg.jp/lab-nourin/nourin/sanmusugi.html