47都道府県の柱プロジェクト~香川県~

山一木材株式会社(香川県)

この「47都道府県の柱プロジェクト」シリーズでは、名古屋・伏見にある「moriwaku cafe」内で柱材として活用されている各県の木や、その柱材の提供者である事業体について紹介しています。

<香川県の森林・木>
香川県は県土面積が小さいこともあり、森林面積・森林率ともに全国でも下位に位置しています。こうした環境のためか林業も他地域と比較すると盛んではなく、県産材もあまり流通していないと言います。そんな森林資源が豊富とは言えない地において、まれに床柱・大黒柱などとして使われる地元材が「カイヅカイブキ」。ヒノキ科ビャクシン属の常緑針葉樹です。moriwaku cafeの柱材もこの木を使用しています。家の庭木や公園などによく植えられているため、意識してみると全国各地で意外と簡単に見つけることができるかもしれません。材としては何といっても見た目がとっても派手で個性的。うねうねと曲がりくねった様子や、赤みの強い色、独特な香りが印象に残ります。山一木材では建材以外に、輪切りにしてお皿にするなど新しい活用法を提案しています。

※ 県土面積は全国最小、森林面積は大阪・東京に次いで3番目の小ささ、森林率は全国で37番目

木と暮らすこと、伝えたい

地元周辺の木材はもちろん、全国各地や海外の材も取り揃える「山一木材株式会社」。“セレクトショップ”のような材木屋と例えると分かりやすいでしょうか。そんな同社を特徴づける取り組みが「KITOKURAS(きとくらす)」というプロジェクトです。木の香り漂うカフェ、木のものを中心とした日用品店、ギャラリー、定期的に開かれるマルシェなどのイベント、これらが一体となったものです。例えば日用品店では、「ほんまもんであること」「経年変化が美しいこと」「日常で使えること」を基準に厳選された品々が並びます。

2010年からスタートしたこのプロジェクトは、現社長の娘である熊谷有記さんが家業を手伝うようになってから始まりました。当時、納期やコストなどの手間が掛かるためか、大工さんや工務店から敬遠されていた無垢材。丸太から挽いたものを天然乾燥させることで素材本来の色・香り・つやが残るため、会社としては確固たる自信を持っている材です。だからこそ、その魅力を知ってもらいたいという思いが強くありました。そこでまずは、エンドユーザーである一般の方に知ってもらえれば無垢材のファンが少しづつ増えるかもしれないと、より木を身近に感じられる店を開いたのです。

カフェにやって来るお客さんは、材木屋とは知らずにお茶をしに来る方も多いのだとか。一見森林や木に関心がなさそうな人たちでも、何かのきっかけで木の魅力にハマってくれるかもしれない。「KITOKURAS」にはそんな可能性が秘められています。林業・林産業にとって苦境が続いていると言われる中、どう生き残っていくか。ここでできることは、無垢の木がある暮らしをより多くの人に提案し、それぞれの生活の中で木材を使ってもらうこと。それはきっと、会社にとっても関わる人にとっても豊かな日々へとつながるはずだから。

上記の香川県の木はmoriwaku cafe(名古屋)にて柱材として活用しています。その風合いをぜひ間近で体感してみてください!

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山一木材株式会社
香川県丸亀市綾歌町栗熊東3600-5
TEL 0877-86-2007 or 5151
HP http://www.yamaichi-mokuzai.com/

参考文献等)
林野庁/都道府県別森林率・人工林率(平成24年3月31日現在)
http://www.rinya.maff.go.jp/j/keikaku/genkyou/h24/1.html(最終アクセス 2017.7.16)
平成28年全国都道府県市区町村別面積調|国土地理院
http://www.gsi.go.jp/KOKUJYOHO/MENCHO201610-index.html(最終アクセス 2017.7.16)
森林・林業・木材辞典編集委員会(1993)「森林・林業・木材辞典」