山の日(8月11日)に考える。山の成り立ち
今日は、日本の山と自然を考える国民の祝日「山の日」です!
その存在がもはや当たり前になっている山ですが、一体どうやってできたものなのか、この機会に改めて考えてみたいと思います。
地球のうごめき!プレートテクトニクス
大前提として必要になる考え方が、“プレートテクトニクス”という地学における学説です。
地球の表層は十数枚のプレート(板状の岩石の塊)からなり、地球上の地学的現象(地震や火山活動など)はそれらの運動によるとするもの。
このプレートテクトニクスから生じる以下の要因が、山を形成していると考えられています。
①断層運動
②造山運動
③火山活動
④その他
それぞれ具体的に見ていきましょう。
①自分が立っている真下にもある?断層運動
断層とはその名のとおり、岩石や地層が断ち切られて、その面を境に両側がズレている現象のことです。日本列島を縦断している大断層「中央構造線」を代表に、全国各地に数多く点在しています。
地下の岩盤が広い範囲で割れて断層となるとき、地震が起こります。日本列島はプレートの境の上にあるため、プレートがぶつかり合う境界でひずみが発生し、プレートの一部が破壊されてしまいます。そして、この断層という形で大きな地面のズレが生じたり、細かいズレが積み重なることで大きな高低差が生まれ、それが山となります。
六甲山も断層運動により、約50万年かけて1000mほど隆起したと言われています。
②海底もいつかは山に?造山運動
海の底にある海洋プレートが海溝※へ沈み込む際、海洋プレートの上に堆積している物質と大陸プレート由来の堆積物が混ざり合い、プレートが沈み込む過程でその堆積物がどんどん積み重なっていきます。この積み重なった部分を“付加体”と呼びます。海の中でできた付加体は成長を続け、海面へ到達し、時を経て陸となります。
※海溝:一つのプレートが、もう一つのプレートの下に沈み込み消滅してしまう場所
こうした動きは断層の発生要因となり、巨大地震につながります。
地震が起こることで、付加体の堆積物が内陸方向に押しやられ、海溝と平行な形で山脈を形成していきます。四国山地などがその例です。
もう一つ、大陸・島どうしがぶつかって山ができる場合もあります。
例えば、日高山脈は北海道の東西がぶつかり合って形成されました。神奈川県にある丹沢山地は、日本列島に別の小さな島が衝突してできたと言われています。
海外に目を向けると、もっと有名な事例があります。それはヒマラヤ山脈です。インド洋上を漂っていたインド大陸がユーラシア大陸に激突したことでヒマラヤ山脈が出現しました。実に4000万年前のことです。
大陸プレートは軽いために海溝で沈み込まず、ぶつかったもう一方の大陸プレートが乗り上げる状態となります。プレートによりフタをされてしまった海溝上の堆積物は、少しずつ上へ上へと押し上げられ、巨大な山脈が誕生するのです。
ちなみに、インド大陸は今もなお、1年に約5cmのほどの速さでユーラシア大陸に向かって動いており(爪が伸びる速さと同じくらいらしい!)、それによってヒマラヤ山脈は1年に5mmほど高くなり続けているのだとか!恐るべし、プレートテクトニクス!!
③火山活動
火山はマグマの噴火によって形成されますが、火山といっても山の形状にはいくつか種類があります。例えば富士山を代表する成層火山は、何度も噴火を繰り返し、その噴出物が重なって山となります。
山の形のちがいはマグマの噴出様式(火砕流や火山灰など)によって異なってきます。
阿蘇山は粘性の高いマグマなので、こんもりとした山を生み出します。
これら以外にも、風化・侵食、氷河の作用、花崗岩の上昇、泥火山、蛇紋岩海山など、山のでき方は多彩です。それだけ、地表の深く深く下の方では想像をはるかに超える、ドラマチックな地球のうごめきが起こっているのかもしれませんね!
ここまで紹介した内容はかなりざっくりとした情報です。より専門的な知識を増やしたい、そもそもなぜプレートがあり、どのように動くのかなど、もっと詳しく知りたいという方は、『山はどうしてできるのか(藤岡換太郎著、講談社)』をご一読ください!地学の初学者にも分かりやすくまとめられていて、おすすめです!
<参考文献>
講談社『山はどうしてできるのか』藤岡換太郎著(2012)
講談社『地学ノススメ』鎌田浩毅著(2017)