森林とともに育ってきた“日本一のワサビ”

静岡県の名物といったら最初に何を思い浮かべるでしょうか?ウナギや富士宮焼きそば、浜松餃子等、いろいろありますよね。中でも、静岡茶に代表されるお茶は全国収穫量ランキングで約40%の1位になっています。
しかし、静岡県には全国産出額ランキングでお茶よりも高い75%の割合を占め1位になっているものがあるんです!(平成28年度)それは…ワサビです!

 

ワサビには西洋ワサビや陸地で育つ畑ワサビなどいろいろな種類がありますが、静岡県では「沢ワサビ」や「水ワサビ」と呼ばれる、湧水地で育つワサビを栽培しています。この種類は良好な水質と豊富な水量があり、気候条件が適している場所でしか栽培ができないので、生産地が限られています。
また、気候条件や生産場所によって栽培方法に違いがあります。まずは静岡県でのワサビの歴史と栽培方法を紹介します!

もともと栽培条件がそろっていた静岡県では、江戸時代頃からワサビの栽培が本格的に始まりました。また、江戸までの輸送もしやすかったこともあり一大産地となりました。
当時から寿司・刺身・そば等様々なものに使われていたワサビですが、静岡県産のワサビは良質だと評判が良かったそうです。静岡県のワサビの栽培様式は「畳石式」とよばれており、山に囲まれた緩やかな傾斜のある場所に田んぼを階段状に作ったもので、平成30年3月には世界農業遺産(社会や環境に適応しながら何世代にもわたり継承されてきた独自性のある伝統的な農林水産業と、それに密接に関わって育まれた文化を認定する制度)に認定されました。

 

この畳石式は緩やかな勾配を利用しているため、作業効率が良く、通気性が高いため生育が早く成長にムラがないことから、“最も進歩した様式”といわれていますが、豊富な水量を必要としています。
静岡県には富士山をはじめとする森林が豊富にあるので、その働きによりワサビの栽培に必要な水量が保たれています。森林は雨水を落ち葉や土に貯めて徐々に流すことが出来るため、降水量が少ない季節でも変わらず水を供給してくれます。
また、強い日差しからワサビを守るべく植えられたヤマハンノキとワサビが独特の景観を作り出し、緩やかな水の流れのおかげでハコネサンショウウオなどの希少な動物たちの住処となっているそうです。

ワサビ1つをとってもこれだけの背景があるので、他の食材1つ1つにもストーリやバックグラウンドがあるはずです!こうした点を想像すると普段の食卓がより楽しく、美味しく感じられるかもしれません。

参考サイト・文献

http://www.pref.shizuoka.jp/j-no1/m_wasabi.html 『静岡県公式ウェブサイト「ふじのくに」』(閲覧日:2018年7月2日)
http://www.maff.go.jp/j/nousin/kantai/giahs_3_122.html 「農林水産省ウェブサイト」(閲覧日:2018年7月2日)
『わさび博物誌』長谷川嘉成・鵜飼優慈・村田充良(2004,4)金印株式会社