バカ?ひっつきむし?あの植物の正体とは…

秋の草むらを歩いていたら、いつの間にかズボンやシャツにあいつがついている…もしくはあいつを友達に引っつけて遊んだ…誰しも経験ありますよね。
地域によって違う呼び方がありますが、みなさんはなんと呼んでいますか?

今回はそんなあいつと、その仲間をご紹介します。

【オナモミ】

キク科の一年草で空き地や河川敷、道端に自生。
オナモミの中にも種類がありますが、最近では外国からやってきたオオオナモミとイガオナモミが一般的です。
トゲトゲの先端には引っかけるかぎ針を持っていて、私たちの衣服をちょいっとつかんで種子を遠くへ運んでもらおうと待ち伏せしているわけです。
トゲは触ると痛いぐらいに丈夫なので、種子を運ぶ役割の他に、敵から身を守る鎧としても役立ちます。

【ヌスビトハギ】

マメ科の多年草で林の縁に自生。
普段はいくつも繋がってサングラスのような形の実は、熟すと赤い斑点が入った緑色から褐色に変化し、中央のくびれがちぎれて2つに分かれます。
昔の人はその形を盗人がつま先立ちで静かに歩く足跡に似ていたのでこの名をつけたと言われます。
花はピンクや紫など可愛らしいですが、あなどるなかれ。表面に細かい毛がびっしり。毛先はかぎ状に曲がっているのでこれで動物や人にくっついて種子を運ぶのです。

【センダングサ】

キク科の一年草で道ばたや河原に自生。
秋になると黄色くて小さい花が咲きます。
タンポポの綿毛のような姿で、実は多数が集まってイガイガを作っており、ひとつひとつは細長い棒状です。
先端はいくつかのトゲに分かれていて、さらにそこに逆さ向きの細かいトゲが生えています。少し触れただけでくっついて離れないのも納得ですね。
日本には一般にコセンダングサとアメリカセンダングサが多くあります。

 

服について厄介なひっつきむし。他にも20種類以上日本に存在します。
しかし、それは植物が生き残るために進化で獲得した知恵なのです。
私たちの身近にも、そんな生存戦略のおかげで発明されたものがあります。マジックテープの接着部分です。実はこのひっつきむしたちの構造を参考にして開発されました。

こうした生物が持つ性質をヒントにして新しい材料や製品を作り出すことは「生物模倣(バイオミメティクス)」と呼ばれ、世界中の優れた研究者が注目する分野です。

あなたの生活のすぐそばに生物の生き抜くカギがあるかもしれませんね。

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参考文献
身近な植物に発見! 種子たちの知恵 多田多恵子
図説 花と樹の辞典 木村陽二郎