「木工家ウィーク NAGOYA・2018」開催レポート

愛知

“身近に木がある暮らし”を木工家と共に考える

「木工家ウィーク NAGOYA」は、木の家具から始まる“豊かな暮らしのあり方を、木工家と共に考えるイベントです。2008年より毎年この初夏の時期に全国各地から多くの木工家が名古屋に集結。今年は木工品の展示・販売だけでなくフォーラム、ワークショップ等の13の企画が名古屋各地で開催されました。木工家が仕事として周知された当初の状況と比べると、人々の生活や意識、そしてものづくりの技術や環境も時代の流れに伴って変化してきました。そんな現代社会の中で、「木製家具を使うこと」「木工を仕事とする」ということを今一度考えてみよう、というのがこのイベントの大きなテーマになっています。ここでは、moriwaku cafeで開催された2つの企画についてご紹介します。

樹のある暮らしの手作り家具展

この企画では、Slow WOOD CREATEの平木寛さんが製作した「森の樹の自然な形を活かした手づくり家具」が展示・販売されました。ヒノキの枝を利用した作品が目を惹きます。

皆さんは、「見立て」という言葉をご存知でしょうか。木が自然の中で成長するために身につけた特性を、製品にも活用することを指します。

例えば、上の写真のようなテーブルには、沢山のヒノキの枝が利用されています。これらの枝は、「見立て」され、自然に曲がりがあるものを適所に利用することで、強さと自然な美しさを兼ね備えた作品となっています。加工にも余分な労力をかけないので、とても合理的な方法ともいえますね。

この他にもロッキングチェア、フロアスタンドなど、岐阜県美濃地方のヒノキを見立てて利用した作品が展示・販売されていました。また「作品の魅力をストーリーとして伝えている」と語る平木さん。ロッキングチェアには、美濃産のヒノキに加えて、柿渋を塗った美濃和紙等も利用され、その地域独特の風土を活かしたデザインになっています。家具に使われた材料の説明が、地域の風土や特産品も紹介できる機会となり、その家具と共に地域の素晴らしさも伝わっていく。この企画を通して、地域の木を見立てて使うことの重要性を感じました。

モリノコエ

日本には1000種以上の木が生育しています。有名な木でつくられた高級な家具がある一方で、私たちの目に触れられず森に放置されてしまう木もあります。この企画では、普段は材料として使われない樹種を利用した珍しい木工品に出会うことができました。具体的な樹種としては、アオハダ、アズキナシ、コシアブラ等。コシアブラは山菜としては有名ですが、その幹が木工の材料としても利用できるとは驚きでした。

ボタン、コマ、そしてイヤリングのような小物から置時計や食器まで、様々な樹種の木を利用した作品が展示・販売されていました。色とりどりの作品から里山で生育する木々の様子を彷彿とさせます。

普段加工しづらいと敬遠される木をあえて木工品として利用し「モリノコエ」を私たちに届けてくれたのは、岐阜県在住の2人の木工作家さんです。岐阜県郡上市を拠点とし、森林整備や木材利用に取り組む「ものづくりで森づくりネットワーク」という団体から、通常なら林内に切り捨てられてしまう広葉樹の間伐材を購入し、それを利用して木工品を制作しているそうです。

このイベントを通じて、木工家は材料を加工し販売するというだけでなく、制作を通して使用した木の魅力やその木が生育した環境の状況を作品の利用者に伝える役割があるということを実感しました。その「森の語り部」としての役割は、これからの将来、私たちが持続可能な社会を目指す上で必要不可欠になってくると思います。イベントに参加した木工家さんの今後の活動にも目が離せませんね。
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関連リンク
「木工家ウィーク NAGOYA2018」:http://woodworkers.jp/
「樹のある暮らしの手作り家具展」
Slow WOOD CREATEhttps://www.woodcreate21.com/
「モリノコエ」
TSUBAKI Lab.http://tsubakilab.jp/
fuu + 017https://www.facebook.com/fuutasujuunana/

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