日本では数少ない?美麗な木造橋

日本にはどのくらいの橋があるかご存知ですか?15m以上の道路橋は16万7千箇所以上も設置されているそうです(数値は総務省道路統計年報2017より引用)。その中でも、木橋(もくきょう)の割合はわずか0.3%ほど!木橋とは主な構造部分が木材でできている橋のこと。現在では少なくなってしまった木橋ですが、日本のいろいろな場所で今もなお活躍しています。今回は優美な曲線が特徴的な木橋をご紹介します!

錦帯橋(きんたいきょう)

山口県岩国市にある直線193m、幅5mの木造アーチ橋です。山口県といっても広島県と近いため一緒に観光ができる立地になっています。
木橋が少ないという話を冒頭でしました。その中でも木造のアーチ橋は大変珍しく、他にあまり例を見ません!

この橋は日本三大橋の一つでもあり、県下最大の河川である「錦川」にかかっています。その存在感は圧倒的で曲線がとても美しいです。まさに木造の芸術品と言えそうですね。また、周りの山々とも雰囲気が調和しているのも見どころの一つ。橋の上からはこのような景色を見ることができます。

背景に見える山々や広い河川がゆったりとした雰囲気をつくっていてとても落ち着く眺めです。春は桜、夏は鵜飼い、秋は紅葉、冬は雪化粧と四季折々の景色が楽しめます。近くには日本百名城の一つの「岩国城」がちらりと顔をのぞかせています。

橋を渡ってみた

実はこのような曲線の橋を渡るのは筆者にとっては初体験。実際に歩いてみると、思ったよりも急な斜面にびっくりしました!ちょうど川の上に架かっている中央の3つの橋は特に湾曲が大きくなっています(これがアーチ構造)。このアーチ部分の下に柱がついていないので川の流れを妨げない工夫がされています。訪れた際にはその橋の曲がり具合をぜひ楽しんでみてください!

錦帯橋の大きな見どころは何といっても素材と構造です。錦帯橋の公式ホームページ(岩国市)によると橋に使われている木材はマツ、ヒノキ、ケヤキ、ヒバ、クリ、カシの6種類で、上の写真の橋板に見えているのは長野県産のヒノキだそう。せっかくなので橋の下を覗いてみました。木組みがとてもきれいですね。私は木組みを見るのが好きなので近くで存分に木組みを楽しめました。橋の上からの眺めや下からの眺めを楽しみつつゆったりした時間をお過ごしください!

錦帯橋はいつできたの?

初期の錦帯橋は1673年に完成しました。しかし、悲しいことに翌年に流出。5か月に及ぶ修復ののちに完成しました。以降各アーチは数十年から三十数年で架け替えられながら1950年のキジヤ台風まで“256年間”も頑丈さを保ちました。1953年にまた修復し、直近では2004年に3年がかりの橋替え工事が完了しました。

槍倒し松と錦帯橋

「槍倒し松」というちょっと面白い松も見られました。この松にもちょっと面白い逸話があります。そちらはぜひ現地で確かめてみてください!

※橋を渡る為には通行料がかかります。(往復 中学生以上300円、小学生150円)

アクセス)
JR岩国駅よりバス、タクシーで15~25分
新岩国駅よりバスタクシーでおよそ10~12分

参考文献)
山口県歴史散歩編修委員会(2006)『山口県の歴史散歩』山川出版社
依田照彦(2016)『トコトンやさしい 橋の本』日刊工業新聞社